近年、福祉現場において資格書類の偽造や虚偽申請が発覚し、行政指導や報道で取り上げられるケースが増えています。
「資格を持っていないのに、あるように振る舞っていた」「実務経験を偽って配置されていた」――こうした話を聞くと、強い不信感を抱く人も少なくありません。
しかし、現場をよく見ていくと、この問題は単純なモラルの欠如では説明できない側面を持っています。
背景にある慢性的な人材不足
福祉業界、とくに障害福祉や児童福祉の分野では、慢性的な人材不足が続いています。
配置基準上は有資格者が必要であっても、実際には応募自体が少なく、採用できても経験年数が足りないといった状況が珍しくありません。
その結果、
- 「資格は取得予定」
- 「実務経験はあるが証明書がまだ」
- 「前の事業所に連絡が取れない」
といった宙ぶらりんな状態のまま、現場に立つ職員が生まれてしまいます。
「悪意」よりも「追い詰められた判断」
書類偽造と聞くと、意図的な不正を想像しがちですが、実際には
- 期限までに書類を出さなければ指定に影響が出る
- 管理者や周囲からのプレッシャー
- 書類の意味や要件を十分に理解できていない
といった状況の中で、
「とりあえず形だけ整えよう」
「後で何とかすればいい」
という判断に至ってしまうケースも少なくありません。
これは決して許される行為ではありませんが、
制度の複雑さと相談先のなさが、判断を誤らせている側面があります。
実務経験証明書が象徴する“つまずきやすさ”
特に問題になりやすいのが、実務経験証明書です。
この書類は、
- 発行主体が過去の事業所である
- 記載内容に法令解釈が絡む
- 取得までに時間がかかる
といった特徴があり、個人ではどうにもならない場面が多くあります。
それでも「証明できなければ無資格扱い」となるため、
焦りから不正に手を出してしまうリスクが高まります。
問題は個人ではなく“構造”
重要なのは、この問題を
「不正をした職員が悪い」で終わらせないことです。
書類を個人任せにし、
分からなくても相談できず、
期限だけが迫る――
こうした構造がある限り、同じ問題は繰り返されます。
予防の鍵は「曖昧にしないこと」
書類偽造を防ぐために必要なのは、
高度なチェック能力よりも、
- 曖昧な状態のまま配置しない
- 早い段階で状況を共有する
- 「分からない」を許容する運営体制
といった基本的な姿勢です。
無理に進めず、一度立ち止まる判断が、
結果的に事業所と職員、そして利用者を守ることにつながります。
ポイント
実務経験証明書のことで、
「もう前の職場に連絡したくない…」
「何て言えばいいか分からない…」
と感じている人は、実は少なくありません。
そんなときは、無理に一人で抱え込まなくても大丈夫です。
前職への依頼を、行政書士と連携して代行するサービス タノンダ という選択肢もあります。