福祉事業所で、実務経験証明書の作成をめぐる重大なトラブルが発覚しました。
ある従業員が、管理者や法人代表の確認を取らないまま、事業所に保管されていた印鑑を使用し、実務経験証明書を作成・提出していたのです。
一見すると「内部の手続きミス」に見えるかもしれませんが、結果としてこの行為は、行政上も法人内部でも看過できない問題として扱われることになりました。
実務経験証明書は“軽い書類”ではない
実務経験証明書は、指定申請や人員配置の根拠となる重要書類です。
本来は、
- 法人代表者名での発行
- 内容の事前確認
- 法人実印の押印
といった正式な手続きを経て作成される必要があります。
しかし今回のケースでは、「急いでいた」「悪意はなかった」という理由から、
事業所内にあった印鑑を使い、独断で書類を作成してしまいました。
本人の説明は、行政では通用しない
発覚後、当該従業員は
「配置が間に合わないと困ると思った」
「上司に確認する時間がなかった」
と説明しました。
しかし、行政の判断は明確でした。
押印・発行権限を持たない者が作成した証明書は無効。
理由や事情に関係なく、正式な書類とは認められません。
その結果、
- 実務経験証明書は無効扱い
- 行政から法人へ是正指導
- 配置基準の再確認・是正
といった対応が求められました。
法人内部でも“個人の問題”では終わらない
この問題は、法人内部にも大きな影響を与えました。
書類を独断で作成した行為は、
規程違反・職務権限逸脱として扱われ、懲戒対象となりました。
同時に問われたのが、
「なぜ従業員が勝手に印鑑を使える状態だったのか」
という管理体制そのものです。
- 印鑑の保管ルールは明確だったか
- 誰が使えるのか周知されていたか
- 書類作成・押印のフローが整備されていたか
これらが曖昧だったことで、
結果的に法人全体がリスクを背負う形になってしまいました。
問題は“善意”では防げない
今回の事例が示しているのは、
「悪意がなければ大丈夫」という考えが、福祉の書類では通用しないという現実です。
実務経験証明書は、
法人の管理体制そのものを問われる書類でもあります。
誰が、どの権限で、どの印鑑を使い、何を確認したのか。
そこが説明できなければ、法人の信頼は一気に揺らぎます。
“ただの紙”と思った瞬間にリスクが生まれる
実務経験証明書は、単なる事務書類ではありません。
一枚の書類が、
- 行政指導
- 配置基準違反
- 法人の信用低下
につながることもあります。
印鑑管理や書類作成フローを見直すことは、
トラブルを防ぐための「面倒な作業」ではなく、
法人と職員、利用者を守るための最低限の備えと言えるでしょう。
ポイント
実務経験証明書のことで、
「もう前の職場に連絡したくない…」
「何て言えばいいか分からない…」
と感じている人は、実は少なくありません。
そんなときは、無理に一人で抱え込まなくても大丈夫です。
前職への依頼を、行政書士と連携して代行するサービス タノンダ という選択肢もあります。